「とある魔術の禁書目録」作:鎌池和馬 イラスト:灰村キヨタカ
Amzon見たら何故か5巻と6巻しか画像無いんだ・・・。この画像有り無しの基準てどこにあるんだろ?この本は電撃の中ではそこそこ売れてる本のはずなのになぁ。よほどつまらない本以外とりあえず3巻までは読んでみるのが方針なのでとりあえず3巻までチビチビと仕事の合間に読みました。
この本は恐ろしく(というのは言い過ぎかもしれないが)読みにくい本ですね。読みにくい理由は「灼眼のシャナ」とほぼ同じで常用外のルビをやたらと振りたがる所為。とりあえず3巻で挙げると「不幸な人(オカルト)」「暗視(NV)ゴーグル」「大画面(エキシビジョン)」「航空素材(ポリカーボネイド)」「神経ガス(ASD10)」etc・・・。それ以外にもこの作品固有の単語として「風紀委員(ジャッジメント)」「吸血殺し(ディープブラッド)」など避けられないルビも存在するので変な読ませ方が氾濫してて読みにくい。
本来こういった常用外の読みは1つの対象に2つの読みという選択肢を与えて読者がより自分のイメージに合う方の読みを選択するファジー機能であったり、2つの読みの間のギャップを楽しむ物である。後者に関しては字幕映画の原文と訳文を比べ楽しむのと同じような感覚ね。で、この作品でのルビの振り方はというとどちらでもない場合が多いように思える。「暗視(NV)ゴーグル」のNVとは恐らくナイトヴィジョンの事だろうが片仮名で書かれるならともかく「NV」と書かれてもとっさに何の事か分からないのでそこで意識が変な方に逸れてしまう。それでは意味が無い。
もっとひどいのが89pの御坂妹の持つ銃についての記述で「アサルトライフル」「F2000R」「オモチャの兵隊(トイソルジャー)」とルビも合わせて4行の間に同一存在に対し4つの呼び名が書き連ねられる。僕は銃には詳しくないが「アサルトライフル」は銃の種別、「F2000R」は形式番号と予想するも「オモチャの兵隊(トイソルジャー)」に関してはマグナムとかデザートイーグルみたいな銃の名前?あるいはその銃自体スタンド能力みたいな物で出したって事?って感じで混乱します。試しにググってみたけど「トイソルジャー」は銃の名前じゃないみたいだしどういう意図でこの単語が挿入されたのか分からない。
これでは激しく自己満足な表現ですね。もちろん読者によっては「何か分からんけどカッコイイ!」とか思うかもしれないので衒学的に狙ってるのかもしれませんが。それにしてもその数が多過ぎるのはあまり効果的では無いと思うのですが若い読者はこうした表現を好むのでしょうかね?まぁ、オタクなら誰しも程度の差は有れ小難しい漢字の必殺技とかをカッコイイと思う時期はあるのですが少し行き過ぎな気がしてならないのですがそのあたり編集者さんはどう考えてるんでしょうか。この部分を欠点として考えるなら当然編集者としては「減らした方がいいんじゃないんですか?」と作家につっこむべきなんだがそうしてないって事はこれは個性だと捕らえてるのかなぁ。個人的には変な読み仮名付けるよりも読み易くしてくれた方が読者にとって嬉しい気がするのだが。
あとは単純に校正方面においてもルビの振り方おかしくないですかね。たとえば3巻2章の4―81p~86pの間には主人公の名前「上条」という記述が14回あるけど読み仮名が振ってあるのはなぜか4回目と9回目だけ。ルビの振り方の法則なんざ知らないですがどうにもチグハグに見えて仕方ない。
さて、ツッコミだすとキリが無いこのシリーズですがそれを天秤に掛けれるぐらい出来の良い所があります(無いと困るが)。とりあえず灰村さんの描く女の子はすごく可愛いしそれにともなって(?)本文の方も可愛く書かれてます。一応メインヒロインのシスターの少女・インデックスは基本的に常識が無く、怒ると頭に噛み付き、狙われてるのに緊張感ゼロのアホな娘ですが弱音は「おなかすいた」ぐらいしか言わないいい子です。他にも上条当麻の担任、外見12歳の月読小萌とか吸血鬼殺しの巫女さん姫神秋沙、ツンデレ超能力女子中学生御坂美琴とか女性キャラが次々現れ次々フラグが立っていくのでハーレム物が好きな人には格好の妄想ネタになります。反面インデックスの出番がどんどん削られていくと言う副作用には困った物ですが。
そしてもう1点、主人公上条当麻が熱い。系譜としてはFateの衛宮士郎と同じで窮地に陥った人を見捨てるのが嫌でしょうがないので自分の身を削って助けて、自分はボロボロになっちゃうタイプ。超能力学園において唯一の「レベル0」=「最弱」の称号を冠する当麻が能力者に対して果敢に立ち向かう姿には涙を禁じえない。
特に3巻の美琴との対決シーンはいい。黙らず隠さず賢いやり方ではなく最も愚直な方法を持って美琴を止めようとする当麻のやり方にしびれる。そしてどんなに死にそうな目にあっても防御すらせず「結局は、それでも。最後に残った自分の夢を奪おうとした男さえ殺せないほど、善人だったってだけじゃねーか」なんて台詞を吐いて笑ってしまう当麻に泣ける。
とにかくこいつは真っ直ぐなのだ。僕らが絶対に辿り着けない地平に代わりの誰かが立っていてくれる、そういう事を僕は涙が出るくらい嬉しいことだと思うわけです。
とりあえずこのシリーズはもう少し読もうと思います。関係ないけど「オオカミと香辛料」はいつ再販されるのだろうか。買おうと思ってから1ヶ月以上経ってるのにちっとも入荷しない。5/10には入ると踏んでいたのだがこれは2巻が出るまで増刷しないつもりか。さっさと作れば売れるのに何をやってるのか電撃は。
とある魔術の禁書目録 1
とある魔術の禁書目録 2
とある魔術の禁書目録 3