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響け!ユーフォニアム8話の脚を使った演出が面白い

響け!ユーフォニアムの8話がなかなか面白かったのでリハビリがてらにちょっと書いてみる。原作と音楽に関しては知識ないのであくまでもアニメから読み取れる部分だけの話になります。足以外にも全体的に演出が面白かったです。
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アバン、同じ部員の塚本が気になるという話になった場面、葉月は足をすり合わせてもじもじした状態を表現。今回は足で表現しているシーンがいくつか有って、これはなかなか珍しい演出回だと思う。

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葉月と緑が話しているのをいまいち現実感のないまま眺めている久美子の足。これは地に足がついてない状態を表している。この後部内全体(明言はされていないが校内全体もおそらく同じだろう)が浮き足立っている事が語られる事の前振りでもある。

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縣祭について部活の場で話しているとそれを塚本が聞いて気にしている。塚本は久美子を見ているが隣に葉月がいるので葉月視点だと自分が見られているような気になる。そして後に分かるがこの時高坂もまた久美子が縣祭りに現状誰かから誘われていない事をチェックしている。久美子からすれば高坂が祭の誘いに乗り気なのは意外だったのだが高坂本人はすでにそのつもりが有った訳だ。

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8話のストーリーに直接関係ないけどOPの一部が夏服に変更。ラストの建物見たこと有る気がしてたけど名古屋の国際会議場ですね。全国大会といえば東京でやるものと思ってたけどどうもここでやるらしい。仕事何回か行ったことがあるので見覚えが有った。

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今回は恋愛を軸に部内の人間関係を描いている回なのですがあすか先輩は低音パートでも一人だけ前に離れて座っているのがお察し。一方で夏紀先輩は多分初めて久美子を「黄前ちゃん」と呼ぶシーンがあり以前より仲が良くなっている感じがする。

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演奏で悩んでいる場所があることを塚本は会話のネタに利用しようとチェックしている。そしてまた高坂も同じように久美子をチェック。もちろん塚本は高坂の視線には気が付いても意図は分からない。ここは塚本の視点と視聴者の視点が重なり高坂のミステリアスさが増大する。

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久美子が性格が悪いと言われる所以だけど逆に言うと久美子は塚本に対して猫は被らないということでもある。猫を被る時はあるけど八方美人にはならない所が高坂が気に入ったポイントでは。

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塚本が久美子のどこを好きになったのか分からないけど「もっと上手くなりたい」と瞳をキラキラさせる久美子とそれを微笑ましく眺める塚本の画は青春ですな。

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その後練習に誘われたもののユーフォ重いから断るという落差もなんか面白い。久美子はナレーションの時のフラットかつやや方言ぽいイントネーションが時々入る喋り、友達と喋る時の高めの声、主に塚本相手の面倒臭そうな投げやりな低目の声の3つ使い分けが非常に良い感じ。

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葉月が塚本を誘おうと意を決したシーン、図らずとも久美子の意思確認をする描写になっている。葉月の意図を理解した久美子は一歩脇へどいて葉月に場所を譲っている。葉月もそれを確認したあと塚本に向き合って再度話しかけている。
このシーン、久美子と葉月のアイコンタクトが成立してなかったり、久美子が何となく立ち位置を変えただけなら特別な意味は発生しない。しかし久美子は何となくとか慌てて立ち位置を変えたのではなくはっきりと場所を空けるために動いている。

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葉月の肩を持つ久美子の態度に今度は塚本が久美子の意思を確認するけど意図に気づかない振りをしているのかそのまま流してしまう。久美子は普段塚本に対しては素でいられるのに間に葉月を挟むだけで「建前」を作らなきゃいけなくなっている。この面倒臭さが人間関係描写の面白いところ。
この間高坂が身じろぎもせず久美子だけを見つめているのも面白い。

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足を使った演出が多いのでここの靴もこんがらがった状況、久美子の望むように綺麗に着地できない状況を表しているとも受け取れる。

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犬猿の仲と言われていたのに何故か一緒に居る夏紀先輩とリボン先輩。そして緑は妹と。この回は関係性を描く回なので緑には久美子達以外親しく付き合う相手が居ないという事かも。先輩二人は一緒にいるもう一人が共通の友人だったりするのだろうか。

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緊張をほぐす為の深呼吸が自然と肺活量トレーニングになっているあたり葉月もだいぶ吹奏楽部に毒されて(?)きている。

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久美子のTシャツと素っ気のない靴に対し高坂の格好は「気合」の入れ方の違いである。久美子に褒められて照れる高坂。頬の色以外ほぼ動かない(眉とか)ので分かり難い。

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どっちの神社が好きか尋ねながら足を交差させる高坂。これはアバンの葉月と同じ。なぜならこの質問からが「愛の告白」の一環であるから。自分の好みを打ち明けそれに対する同意を久美子に求めている。

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こういうこと良くするの?と問われ否定するのは言い換えれば「久美子が特別な相手だからこそしている」とも取れる。

Eupho818巨乳+肩腕脇の肉をしっかり描くことでエロさが出てる。久美子は完全に視聴者の代弁者。

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高坂の足は靴擦れで赤くなっている。場所を指定したのは高坂なので山登りに適した靴を用意するのが普通なのだけどそうしなかったのは、要は高坂が浮かれていたから。それはこの後の言動で分かることなのだが、気になっている相手である久美子と祭りの夜に他の皆とは違う特別なことを二人だけでやる、その事に舞い上がっているのだ。

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わだかまりは有っても結局3人でつるんでる3年生。逆に葵がここに入ってないのは・・・そういうこと。

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髪解くのかと思ったらいじるだけ。こういう女の子のちょっとした仕草を普通に入れられるのが偉いあなぁ。殆どの作品ならここは棒立ちと顔アップだけで済ませるよね。

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高坂が久美子のことが気になった理由ですが中学の時のやりとりはその時点ではそこまで大きな理由ではなかったのではないかと思います。個人的には校舎裏での会話で久美子が同じ気持だったり(練習ができない事への鬱憤を貯めている)その時の演奏に込めた気持ちを感じ取ってもらえたことが嬉しかったんではないかと思います。
あと、帰る時の会話で滝先生についての印象を「皆がそう言っている」と暗に「自分はそう思わないけど」という意思を示したことが興味をそそられたのではないかと。高坂が滝を贔屓にしていることは分かっているのだからそこは普通お世辞でも褒めておいた方が無難なはず。
久美子は時々失言をしますがそれは周りと同調して上手くやっていくには絶対にしてはいけない事です。にも関わらず久美子がそれをしばしばしてしまうのは久美子の根底にそういう同調に対しての軽視があるわけで、それは高坂と同じ考えなんですね。

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大げさに解釈するならこの久美子のがに股も塚本に対して恋愛感情がないことを示していると解釈できる。塚本の話題を出されても久美子は乙女の顔を見せない。一方で高坂は「そんなんじゃない」と聞いて完全に乙女の表情。
山登り一連のシーンの意図は久美子と高坂で擬似的な男女カップルを見せることにあると思われる。飾り気のない格好に「背徳感」やら「エロい」だの言い出す久美子に対し、いかにも女性的なボディラインに白の肩出しワンピに山登りに不向きなヒールの高坂は少女性・女性らしさをこれでもかと詰め込んである。

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「特別になりたい」という高坂を中二病と呼ぶのは正しくない。非日常が欲しいから僕らはアニメを見るし一般の人達だって映画やドラマや小説なんかで「特別な体験」を擬似的に味わう。それに高坂はただ欲しがるだけじゃなくて強い信念を持ってそれを獲得する為の行動をしている。だから美しい。

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高坂が真正なのかどうか分からないけど、「同級生の少女の隠れた一面を見てその可愛さ美しさに惹かれる」ってやってること自体は完全に恋愛物の展開ですね。ここらへんのBGMもピアノがすごく綺麗。

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脱いだ靴は裸の暗喩、要するに楽器を使った擬似セックスなわけです。おそらく久美子も高坂も真正のレズではないと思うので直接的な肌のふれあいは手を掴んだ所と唇に触れた所しか無い。それを言葉とファッションと楽器で擬似性交させる、すごく高度で美しく淫らで、そこがこの回の素晴らしさである。

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葉月の足取りは浮かれ具合を微塵も感じない動きになっている。祭りの終わりとともに生徒たちの浮かれた空気もこれで締め。正直葉月は髪下ろしてた方が可愛い。

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最後の演奏シーンも目配せがなんかエロい。

この作品の面白さの一つは主人公の久美子の「どこか冷めている」所です。それに対して久美子の周りは熱を持っていたり、先生やらあすか先輩やらが熱は持ってるくせに冷水ぶっ掛けてくるというキャラごとの熱量の山谷であり、それと人間関係がクロスした時に生まれる葛藤やエネルギーでもあります。
今回は特に人間関係の話だったので作品の持つ味が遺憾なく発揮されていました。前の話が葵の退部の話だったのを祭りで上げてまた次回オーディションで下げるという構成もいやらしさ抜群で面白いですね。

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コメント

>これは中二病ではない
 これは私も浮かんだフレーズです。この回は高坂の思想を鮮烈に描くためにすべてを引き立て役にしていると感じました。(ageとかsageとかいう単純なものではなく)
 祭りに来ている多くの人達はそれぞれ、普通の友情、普通の親子愛、普通の失恋、普通の恋人のふるまいをして楽しみます。
 それと対称的に、足を痛めても高みに登り、普通を見下ろして「私は特別になるのだ」と高坂は宣言するのです。
 これまで「少人数でふわふわタイムな部活」や「妄想の中の特別」を描いて(そして売って)きた京都アニメーションがこういった題材を選んだというのは中々おもしろい構図だな、と。

投稿: ロジェ・カイヨワ | 2015/06/04 16:13

ハア?何言ってんだよ?
そもそも、伊集院光が定義した「中二病」とは、思春期にありがちな「俺は他の奴とは違うんだ」と言う、世間に対してシャに構えた態度を指すんだよ!

まさか、同じ京アニが作ったアニメ「中二病でも恋がしたい」のヒロインがしてるのを「中二病」だと勘違いしてねーか?

あれは正しくは「邪気眼」と言って、伊集院光が定義したものとは全然「別物」なんだよ!
せめて「中二病」の語源と正しい意味を把握してから言葉を使えよ。

投稿: 田宮良太郎 | 2015/06/05 17:35

>「中二病」とは、思春期にありがちな「俺は他の奴とは違うんだ」と言う、世間に対してシャに構えた態度

それは根拠なく自分を特別視することだと思いますが高坂には入学したてですでに3年生よりトランペットが上手いという一芸があるので当てはまりません。それに礼儀正しく無闇矢鱈に大人や世間に反発するような斜に構えた態度も高坂には有りません。よって高坂は中二病ではありません

投稿: 西岡 | 2015/06/05 22:16

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オーディション受かりたいのよ ひとりだけほめられる(笑) 超超超超いい感じ(笑) 帰りアイス食べよ(笑) マスコットもらった(笑) [続きを読む]

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