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おお振りの良さとは

おおきく振りかぶって Vol.8 (8)
今更8巻の感想を書こうと思ったら同時に開いていたStage6のアイマス動画が強制終了してしまったのに巻き込まれて保存前に消えてしまったのでもう一度書くのはめんどくさくなったので考察っぽい事でも書こう。

「おおきく振りかぶって」には他のスポーツ漫画にはあまり見られない点がいくつか有ってそれがそれが面白さの元になっている。
例えば監督の話。女の監督というのはサンデーの「ファンタジスタ」「あおい坂高校」なんかにもあるけどスポーツ漫画全般では珍しい。特にモモ監は教師でも選手に関係のある人物でも無くOGのフリーターという設定は変わってる。まぁ、モモ監の本質はそこじゃなくて他の要素とも絡み合ってくるのですが西浦高校には鬼監督・鬼コーチ・鬼教師の類が居ないという事が一つの重要なポイントじゃないかと思います。スポーツ漫画の定石としてまずチーム内の揉め事というのがあります。不良の溜まり場になってるとか無茶な監督の所為で退部する人が多いとか学校側から認められていないとか嫌な先輩によるいじめが横行しているとかそういう要素を「おお振り」は全て取っ払っているんですよね。だから選手も全員1年生。作者は1年だけのチームでのミラクルを演出したいと言うよりはチーム内の揉め事を減らす為の手段として全員1年を選んでいる気がします。選手の中でも基本的に皆対等で威張っているキャラが居ない。頑なである三橋は代わりに誰に対しても卑屈だし、安部は不器用なだけ、最初ツンキャラになるかと思われた花井も実はいい人だし天才的な能力を持つ田島は天然に設定されている。とにかくチームを取り巻く環境がすごく整っている。現実世界でも大抵体育会系の部活って根性論とか先輩後輩関係がウザいんだけどこの作品ではそういう要素は見せない。だからこそ8巻の帯でアニメの水島監督が「高校時代をやり直したくなる!」と書いているのにも納得がいく。こういう言葉は普通はラブコメ作品とかに使われる物なんだけど、なるほどこれぐらい楽しそうな部活なら自分もちょっと入ってみてもいいかなと思わせる。

この作品の特徴の一つとしてキャラ同士の心の読み合いというのが挙げられると思う。本来高校1年の体育会系のバカなガキが他人の心理を察したりはそうそう出来ないものなんだけどそれをあえてやらせる事によって深みを出すと同時に前述の「嫌な要素を取り払う」という行為の補完にもつながる。
例えば8巻でシュートを打たれた三橋に対して阿部が「投げられないなら沖にでも花井にでもマウンドを譲れ」と発破をかけるのだが沖自身はピンチの場面では絶対に代わりたくないと思っている。そして立ち直った三橋を見て「三橋も自信はないのか、しかも超ビビリだ」「けど投げたがる、あんなのもう投球中毒だって」と考えた後「そーゆーヤツの後ろはスゲーやる気出るけどな!」と三橋を評価し自分を奮い立たせている。本当ならここは「三橋はもう駄目なんじゃないか?」と疑わなければいけないはずなんだよ。でも、ビビリながらも投げたがる三橋の心を沖が読む事で三橋を下ろすかどうかというゴタゴタは避けられる。
また、相手校の桐青も試合前・試合中・試合後をちゃんと書くことによってただの敵として片付けないちゃんと「生きた相手」である事を実感させる作りになっているのも作品の空気作りに一役買っている。桐青は遥かに格下である西浦に対してステレオタイプな侮りを持っていない。鼻持ちならない選手が居るわけでもない、姑息な戦法を採るわけでもない。ごく普通に頑張って、仲間を思いやり、負ければ泣く血の通った心の有る人達だからこそ心の読み合いという心理戦も作品の中で活きて来る。

全体的にスポーツ漫画でありがちなステレオタイプのキャラクターを使わないことによって「生っぽさ」を生み出しているのが成功の要因の一つだと思う。「よつばと!」を読んでいる時に感じる「実際に見た事は無いけどありそう」と感じる描写がしかも全て気持ちのいい方向に向かっていると言う奇跡的なバランス。ただ8巻のラストの流れはちょっと衝撃的だった。実際にどうなるかは分からないが田島が落とし穴に落とされるような展開だったら嫌だなぁ。作者は元々そういう欝っぽい内容の漫画書いてた人なんでむしろこっちが本番とかなりませんように・・・。

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