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間違いと正しさは比べられない

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さて、今までの話でパロディーや手法・テンプレの範囲が広すぎないか?と思った人もいるでしょう。もっと厳格にするべきではないのか?ケースバイケースですが世の中には意外とゆるい部分やこれやり過ぎじゃないの?という物も有るので比較して考えてみましょう。先に言っておくけど僕は法律の専門家じゃないからね。詳しくは自分で調べてください。

まず知っておきたいのは著作権は「親告罪」という性質を持ち、基本的に著作権者が訴えない限り警察が勝手に取り締まる事は出来ません。殺人罪などはたとえ被害者が死んでいても、死んだ被害者の遺族・身内が見つからなくても警察は動く事ができます。ですからまだ訴えられていないパクリは犯罪ではありません。本来は外野が糾弾できる事じゃないんですね。
では次に感情論として著作権者に金を払っていたらパクリじゃないと言い切れますか?最近、少女漫画家が盗作でクビを切られましたがあの人たちがちゃんとお金を払っていたら「お前は何も悪くない」と掌を返せますか?たぶん「ちゃんとお金を払っていたのはえらいとは思うけど自分の力で描けよ」という感想になるんじゃないでしょうか。だから感情論としてはお金を払っていてもパクリ逃れは出来ない可能性が有ります。著作権の切れた作品そっくりな物をオリジナルとして出した場合も感情論としては納得しにくいでしょう。あと、「著作権は無料で配ればOK」と思っている人もいますがそれは間違いです。例えば映画の場合「頒布権」と言うものが有り作品をどう流通させるかというような事をコントロールする権利で、無料上映会果ては中古の売買まで規制できる(可能性がある。近年では結構力が弱まってます)。
法的には何の問題も無いわけですからパクリ呼ばわりしたら名誉毀損で訴えられる危険性が有ります。ちなみに名誉毀損はそれが事実であっても成立するので、お金を払ってない真性パクリ作家から訴えられる可能性すらあります。感情論として「正しい事をしたんだ!」と言っても犯罪者の仲間入りです。ね?世の中矛盾してるでしょ?感情論と法的解釈が反発するのでめんどくさいんですよ。だからおおらかにしておいた方が楽な部分も有るって事です、全部じゃないよ。

「本のタイトル」や「ニュースの見出し」は著作権で保護されないって知っていますか?他にもアイデアは著作権で保護されません。最近ではパチンコ「大ヤマト」(松本零士が宇宙戦艦ヤマトそっくりのキャラを無許可で描いているヤマトとは全く関係が無い作品)をめぐる裁判で「戦艦が宇宙船になる事」はありふれたアイデアで保護対象ではないという判決が出ました。すごく大雑把に言うと、これからはイージス艦だろうが原子力空母だろうがタイタニック号だろうが船としてデザインされた物を宇宙船に仕立ててもヤマト著作権者に「それヤマトのパクリでしょ?」と言われる筋合いは無いという事になります。しかもヤマトそっくりのキャラクター達も「細部が違うならOK」になりました。トンデモ判例であるかどうかは置いといても一応出てしまった判決ですから上告で動きが有るまではこの判決が法的に正しい事になります。感情論では十中八九ぐらいで「大ヤマトはパクリ」になるでしょう。でも法的には白。あなたは納得できますか?
この判決を元に考えればほぼ100%の類似性が認められないとパクリではないという言い方ができます。あくまでも話の上ですからね、実際には過去の判例がそのまま適用されるとは限らないですよ。100%の類似性を持ったパクリをする人は普通居ません。居たらそれはパクリって言うよりも「コピー」「海賊版」ですね。トレースはパクリですがスキャンはコピー。パクリは真似ているだけで、よほどの技量が無い限り類似性は若干低くなります。
綾波レイと長門有希は似ていると言われますがこの二人を貞元さんが描いたとしても
髪の色が違う(綾波は白か水色系、長門はグレーか紫系)
瞳の色が違う(綾波は赤、長門は基本茶色)
制服が違う
綾波は無趣味、長門は読書家
等の違いがあるので十分に別キャラ扱いできます。こうなるとパクリ認定は原作⇔同人誌間ぐらいしか出来ませんね。実際に法的にも曖昧なんですよ。本のタイトルなんて真似されたら大変のような気がするんですけどね。

そして、そこまでやる必要が有るのか?という例。ジーンズのメーカー「エドウィン」と「リーバイス」がポケットのデザインをめぐって争ってます。マニアならいざ知らず適当にユニクロのジーンズを穿いている僕にとっては果てしなくどうでもいい争いです。でも決着が着くと勝った方はまた別のメーカーを訴えるかもしれません。それが認められていったら・・・ジーンズは世界で一社しか作れなくなります。あとは「パクリとは何か、パロディーとは何か」で書いた時と同じです。これは極端な話ですが100%実現しないとも言い切れないところが恐ろしい部分です。
最近ではマイクロソフトがWindows中のMP3技術において特許侵害で訴えられていますがこれが認められるとWindowsを使用したユーザーすら訴えられる可能性が有るそうです。現実的に訴えられる可能性は低いと言われていますがもし訴えられた場合、勝訴したとしてもお金や時間は戻ってきません。それだけで脅威です。知らずに使っていただけで訴えられるなんて感情論として納得できるはずありません。このように訴訟大国化は危険がいっぱいです。そんな国に住みたいですか?

以上の事からパクリ認定は感情論で線引きしても法的解釈で線引きしても納得できない場合が有るという事になります。そんなめんどくさい事に力を使っていても思ったほど利益にならない訳です。だからお互いおおらかにしておいた方が楽しく暮らせるんじゃないの?と言う事です。

■3/6追記
「パクったのは認めるが、俺が書いたから面白くなった」
うはww男らしい台詞ですね。場合によってはパクった事に対する罪とパクった事による功を天秤にかけて考える必要も有りますね。国家や法律は「より多くの人の利益を守る」為の仕組みであってそれにかなう時は個人の利益は無視される場合がありますからね。

ごみ箱蹴っ飛ばし>説教のコンボはどう説明するんですか?
あれは「偶然」は無いと思います。しかし本当の意図は製作者に聞かないと分からないなぁ。逆に聞きたいんですけど リアルタイムで「R.O.D」を見ていた人はそのオリジナルシーンを「すごい!」とか「上手い演出だなぁ」とか思ったのでしょうか?見ていない僕から言わせると「ねねねの性格にちゃんと即した演出」ぐらいに受け取れるんですよ。大雑把に言えば「ありふれた表現の範疇である」ということ。机を「バン!」と叩いて黙らせるような演出はよく有ると思いますし実際に学校の先生がやりますよね。つまり、その表現自体に独創性は薄いと言わざるを得ません。そうなると皆が引っかかっているのは「同じ演出で怒られる人間が3兄弟」の部分ではないでしょうか?これが1人だったら、2人だったら、相手がカップルだったらと色んなケースを並べて考えてください。「3兄弟(姉妹でもいい)以外ならOK」になるようでしたらそれはカリカリし過ぎですね。
なぜなら3人という人数はまなびの中ではどうでもいい要素、変更可能な要素だからです。「R.O.D」では3姉妹はちゃんと性格付けされて役回りもたぶん区別されているのだと思います。ここで「実は出てきていないけど姉妹はあと2人居る」とか言われたら恐らく話に矛盾が発生してつまらない事になると思うんですよ。しかしむつきの設定は「兄弟がたくさんいるせいか世話焼き」というのを表すための物でもう1人2人追加されても違和感は少ない。3人と言う人数は単純にリアルティーのある数字と言うだけでここも独創的な要素のパクリという意図は無いと言えます(ただし、つまらない・価値が低い演出をわざわざパクる人が居ないとも限らないので絶対ではないですが)。
もしこれが12姉妹とかだったらシスプリもしくはコヨーテ(もしくは水滸伝?)から何らかの意図を持って拝借してきた可能性は否定できません。12姉妹と言う設定は現実には普通ありえない事で独創性が有るからです。著作権では独創性が無くても著作物と認められるそうですが感情論としてのパクリ認定で誰でも考え付くような要素を叩いていたらキリが無い。
独創性の拝借と言う意味では矛盾しますが「朝、幼馴染の女の子が男主人公を起こしに来る」という表現は初めて誰かがやった時には独創性が有ったと思います。しかし今では独創性は無く頻繁に使われています。世の中には幼馴染萌えと言う属性が有ります、僕も好きです。幼馴染萌えが謳歌できるのは「幼馴染」の著作権がフリーだからです。他にも「メガネっ娘は内向的で本が好き」「ツインテール娘はツンデレ」「ポニーテールは活発なキャラ」「身内に裏切られたりひどい目に合わされ人間不信」「冴えない主人公が何故かモテモテ」すべて現状はフリーです。ありがたいですねぇ、感謝しましょう。また「メガネっ娘は内向的で本が好き」がフリーで散々使われたからこそ「メガネっ娘なのに活発」というギャップを生かした新たなキャラが生まれたりもします。わざわざ線引きしない事の有用性を分かってもらえたでしょうか?っていうかもう「こいつらR.O.D好きだな(・∀・)ノヽ(・∀・)ナカーマ」じゃ駄目なんですか。

たけくまさんのブログでしたらこちらもリンクしてはいかがですか?
今の所個人の見解は載せない方針です。「○○さんはああ言ってますが?」「あの人の見解との矛盾をどう説明するんですか?」とか蒸し返されますから。すでに書いたように「ケースバイケース」であり「受け手(発信元)の立場が違えば反応も違う」 のは当然ですからそれをいちいち説明していたら・・・。
しかし興味が無いから芥川やマトリックス、キルビルはスルーして
そんなシーンが有ったんですか?両方とも無知なので分かりません・・・。

【裁判】宇宙戦艦ヤマトは「ありふれた表現」 パチンコ機の著作権侵害を認めず…東京地裁<痛いニュース>
タイトルに著作権はない<たけくまメモ>
ニュースの見出し記事に関する著作権<Mc.N Homepage SDK>

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コメント

アレクサンドル・デュマが弟子から盗作で訴えられたときに、
「パクったのは認めるが、俺が書いたから面白くなった」
という意味のことをいったのは有名ですね。

部分的に他作品からの借用があったとしても、全体としてのオリジナリティーが成立していれば、
オリジナル作品ということでいいんじゃないでしょうか。
あんまりそこら辺厳しく追及しだすと、現行の漫画家はすべて、手塚治虫の遺族に訴えられかねませんし。

投稿: memento | 2007/03/05 19:49

ごみ箱蹴っ飛ばし>説教のコンボはどう説明するんですか?

投稿: みねこ | 2007/03/05 21:17

たけくまさんのブログでしたら
こちらもリンクしてはいかがですか?
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/10/post_94e4.html

しかし興味が無いから芥川やマトリックス、キルビルはスルーして
自分のお気に入り作品のワンシーンだと
問題にしないと気がすまない。
やっぱり「オタク」なんだなぁと思いました、いい意味で。

投稿: カズ | 2007/03/06 03:28

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