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星空キセキ

Yahoo!動画 星空キセキ (7/23まで無料配信)

「星空キセキ」はポスト新海誠になれたのか?なれませんでした。正直言ってかなり足りていない。Yahooの無料配信では約27分の作品となっているがこれはあと5~10分ほどの追加シーンが必要な足りなさ。シーン毎の繋ぎが甘く唐突な展開に感じられたりする場面が多い。無料版がなにかしらカットされたバージョンであるとかDVD版が完全版であるとの表記は今のところ見られないのでDVDで追加シーンが有るかどうか分からないが今からでも補完するべきだと思う。内容を軽く紹介すると

天文部員のこずえはとある場所に隕石が落ちてくる事がなんとなくわかると言って自転車での観測旅行計画を部員に持ちかけるが根拠無い情報と受験前の夏休み2週間という縛りに誰も賛同しない。一人奮起して出掛けるこずえは野宿の最中に宇宙服を着た謎の少年と出会い・・・。

星と少女の恋愛、SF(ファンタジー?)をテーマにした完全オリジナルの作品でネットでの期間限定無料公開の後にDVD化という公開方法をとっている。こうしたスタイルは新しいやり方のモデルとして成功して欲しい気持ちはあるがいかんせん作品が未熟。
まず旅が2週間と言う事になっているので片道でも1週間ほど掛かると言う事だろうがその行程が描ききれていない。その行程描写は「トラックの後に載せてもらう」以下オープニングと共に流れる「料金所の近くで一休み」「スイカ畑を見る」「トンネル」「坂道」と続くのだが時間にして1~2分しかない。こういう日常の中の小さな非日常を描くタイプの作品では最初に十分な量の日常を描いておかないとその後に来る非日常のありがたみが感じられない。1週間もの時間が有るなら旅の初めの方で見掛けた少年の事を考えたり、付いて来てくれなかった友達の愚痴を言ったり、お金が段々足りなくなって食事が貧しくなってきたり、旅先での見知らぬ人とのすれ違いや係わり合いが有ったり、自分の街とは違う景色の街に見とれたり、通りがかったカップルを見て自分も彼氏欲しいなぁとか考えたりして長い時間を表現する事が出来るし表現するべきでもあったと思う。
次にこずえが付けているアクセサリー、これは彼女が子供の時に手に入れた「隕石」で彼女の行動原理を生み出した運命のアイテムである。にもかかわらず少年と会う森のシーンまでそれがクローズアップされないのは前振りが弱すぎると言わざるを得ない。その隕石を手に入れた経緯が後に描かれるのだがこれは順番を差し替えて冒頭に持ってきたほうがまだ効果的だった。
そしてもう一つ重要なファクターである「少年」、こずえは森の中で誰かの声を聞く(彼女自身は自覚して無いが)、これはまず間違いなく少年の声であろうはずが少年は2度目の出会いの時こずえに対して何の反応も示さない。少年は自覚的に隕石を持つ少女に呼びかけていたはずなのでこれは少しおかしいというか演出として弱い。3度目の出会いで少年は何か思うところがあってプラネタリウムの鍵を開けてあげたように見えるのにまた反応が無い。こずえが「声がした」という話をしたにもかかわらず彼女が誰で何故ここに居るのか理解していない。この部分は二人の出会いと謎と解決に関わる問題なのだがここはありがちだが
①少年は無機質な生活に疲れ「隕石」を持つ少女に呼びかける。
②少女は謎の声に引かれ旅をする。
③出会った二人だが少年は自分の正体を明かせず少女は少年が気になるが正体が分からない。
④無機質な生活へと連れ戻される少年、その時奇跡が起きて少女は少年の事を理解する。

こういう流れにするべきだったと思うのだが明らかに配置がミスってる。そのためせっかく呼び出したにもかかわらず少年はこずえが自分の声に引かれて来た事すら理解できないというおかしな状況になる。この作品は要するにこずえ=勇者、少年=捕らわれの姫という配役なんだから二人の関係性が理解できていないのは姫ではなく勇者の方であるべきなのだ。

個人的にこういう作品には頑張って欲しいのだが辛口になってしまう・・・。次の企画に期待。
これを見た後に新海誠の新作「秒速5センチメートル」の予告映像を見てため息が出てしまった。美しさが段違いなのだ。映像美という点においてはジブリ以上で単独トップ、殆どの人間がどれだけ時間や労力をかけようと辿り着けない境地に達してる。僕はまず間違いなくDVD買うでしょう。

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コメント

ちょっと受け取り違いがあるような。
少年は、こずえを呼んでいたわけではなくて、隕石を落とすのが
仕事だから、隕石を呼び寄せていたんだと思いますよ。
言ってる内容も「こっちだ、もうちょっと右」とかいうもので
およそ人を呼びよせている言葉じゃないし。
こずえは何故か同調して、それが聞こえ、呼ばれているような気がした、と。
(おそらくプレートを持っているせい)
だからプラネタリウムで、こずえがそのことを言ったときに、
少年は(そりゃ僕の声だよ〜と)吹きだしたのでしょう。

投稿: 841 | 2006/07/17 03:55

>841さん
プレートを持ってたから呼ばれているような気がしたというのは言われてみればその解釈が正しいですね。勝手に電波を受信しちゃってた、と。少し納得です。
ただ、「ねえ聞こえてる?」とか「僕はココだよ」という台詞もあるので人に対する呼びかけと誤認できるだけの材料は有ると思います。あとは、プレートを貰った時の思い出、あれはこずえの回想だと思いますがどう見ても相手が誰だか分かってしまう作りなので少年の回想と解釈しかねない。1回目の出会いも含め、意味有り気な誤解材料を配置させすぎだと思います。

投稿: 西岡勇志 | 2006/07/17 04:55

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