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フタコイ オルタナティブ第9話

ビデオで見返してから書こう思ったらその時間が取れなくて遅くなってしまった。いやー、1週間過ぎるの早えぇ。第9話「フタコイ」
タイトルにあんまり意味は無かったですね。あえて言うなら沙羅が抜けた「フタコイ」はもう「フタコイ」ではないという事の自嘲でしょうか?今回は或る意味すごく贅沢な作り、1クールアニメで1週丸々使って恋太郎と双樹の現実逃避と後悔を延々と描く、それだけ。
しりとりをしたり、血液型がどうのこうのとか、何も無かったように振舞う恋太郎と双樹。しりとりが長く続かないのはもう一人が居ないせいだろうか。部屋でする事が無くなって高島屋へ。「白鐘沙羅はそうして俺たちの正三角形から抜け落ちたのだった」この台詞には何も感情がこもっていない、後悔とか怒りとか落胆とか。有るとすればただ「諦め」。「実に沙羅らしく」「周りがウダウダやっているのをさっさと見切りを付けて」1人で公彦の下に行った沙羅に対しそれが恋太郎だろうと双樹だろうとその意思をいまさら曲げる事は沙羅の性格上かなり難しい事を残った二人は悟っている。そして沙羅を連れ戻すということは公彦を不幸にするという事であるがそれと釣り合うだけの幸福を双子に与えられる自信が無い。高島屋にて盛大に買い物をする二人、「このままじゃいけないと思う」と双樹。前向きな提案かと思えば「楽しい事をして現実を忘れる」というのが双樹の出した答えだった。こういう時意外に双樹が奮起して恋太郎に発破をかけるのではないかと思っていたがその期待は見事に裏切られた。彼女の良さも結局は三人がそろっている時にしか発揮されないという事だ。「たとえばどんな事をする?」すぐに楽しい事が思いつかず勢いだけに任せショッピングカートに大量の商品を詰め込んだまま店内を暴走し始める二人。警備員を振り切り屋上からダイブ、もうどこからが妄想でどこからが現実か区別付かないハイスピードな演出。こんな時に不謹慎だがかなり面白い。川原で黄昏る二人、子供の遊んでいたボールが飛んでくる。子供はモロ三人を小さくした様な容姿、あからさまな「取り戻せない昔」の表現。「もうこうなったら全治1ヶ月のお怪我を負うとか家が火事になるとか」ありえない事態により情況が好転するのを妄想する恋太郎、だが現実に事務所が放火に遭い3人の思い出は形を失う。事情徴収に応じない恋太郎、はじめて涙を流し心情を表す。「もし空を飛べたら俺たちはハッピーになれたのだろうか?」もしなんて物は全く意味がない、奇しくも事務所の火事で現実を思い知った恋太郎はやはり後ろ向きに新たな1歩を踏み出そうとする。全てを忘れ、全てを受け入れ、全てを新たに始める、双樹と恋太郎の二人だけで。その形としてラブホテルに入る二人。受け入れたはずの現実に泣く沙羅と双樹、「我々はやり直しを要求する」悔しさがにじみ出る恋太郎「それでも俺は、もしも・・・を考えてしまう。もしも空を飛べたとしたら、俺達はハッピーになれるのだろうか。もし、あの時、沙羅と双樹を抱いていたらハッピーになれたのだろうか」流れ始めるEDの前奏、美しい青空を羽を生やし三人で舞う、もちろんこれは恋太郎の妄想であり願望、もう叶うはずの無い。

ひたすら暗い展開の30分にカウンターとしてハイスピードなギャグシーンを突っ込んでくる辺りが他の作品とは一味も二味も違う所。荒唐無稽なギャグはそのまま二人の投げやりな気持ちを表現してもいる。てっきり今回の後半で「沙羅を取り戻そう!」っていう流れになるように何らかのてこ入れが入ると思っていたが丸々1回使ってキャラの心情を描く展開は非常に丁寧であり拍手を送りたい。ただ、恋太郎や双樹を魅力的に見せるならここで自ら立ち直るという方向性もアリだったのではないだろうか。しかし製作サイドはキャラクター一人一人を魅力的に描くよりも「フタコイ」という世界・作品を魅力的に描く事を選択したようだ。この結果が吉と出るか凶と出るか(吉だとは思うが)は最後にならないと判らないだろう。今回は恋太郎の妄想シーンが多く出てきたが今までの演出が何でもアリだっただけに(イカとか)どこからが妄想なのかがすぐには判別できない所が変な意味で面白い。オオカミ少年的な演出にこんな使い道があったなんて感心。現実離れした演出が出れば出るほど「失った物を取り戻す事は困難である」というリアリズムが感じられる。簡単に取り戻せる物を人は「失った」とは言わない、取り戻すのが困難、或いは不可能な物こそを人は失ったと感じる。
こういう事を書くのもアレだがこの作品を見ている間にも我々は何かを失っているのかもしれない。庵野監督がエヴァでオタクに付き付けた様に、この「フタコイ」も我々に対する何らかの警告なのだろうか。もちろん単なる娯楽として見てもいいし、「身近な人を大切に」って話として好意的に解釈してもいい。何が言いたいのか自分でも絡まってくるが、これだけ深い演出の作品を見せられると一から十まで空想で作られたこういうジャンルにこそ現実世界の真理みたいなものが詰まってるのじゃないだろうかと思う時がある。「White Album」の中で美咲先輩が「冬が寒いからこそ温かい物が温かいと感じられる」という話をしてるが正にその通りで僕らにとって空想こそ現実を一番感じられる場所なのかもしれない。「空想と現実の区別が付かない」なんてぬかしてる奴こそが一番区別できてないよなぁ。この先「あの時ああしておけば良かった」とか思う事は大量に有ると思うけどこの作品を見ていた時間を後悔しない人生だといいなぁ。

次回のサブタイがすげぇ「クマのように舞イカのように刺す」このタイトル考えた人の頭の中覗いてみたい。あと前回からそうじゃないかと思っていたが新しいVerのEDピアノVerなんですね。CDにはギターVerしか入ってない!我々はやり直しを要求シル!ヾ(`Д´)ノ

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